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アイルランドVSイングランド

  • 執筆者の写真: 早稲田ラグビー戦術研究会
    早稲田ラグビー戦術研究会
  • 2019年2月3日
  • 読了時間: 3分

ニュージーランドを破り、世界ランキング2位にまで上り詰めたアイルランドをイングランドが下したというニュースは衝撃的でした。しかし、ゲームを見てみると納得の展開。また、サークル内で以前予想していたイングランドの台頭が証明された試合でした。



アイルランドの戦術は以前と変化はなく、ハイパントでエリアを獲得し、フォルドアップDFで敵陣に居座り続けるというものであった。対して、イングランドの戦術はハイパントでエリアを獲得(空中戦での優位を意識してボールも高い確率で再獲得)し、敵陣深くまでロングキックで攻め入るというものであった。

つまり、アイルランドは中盤での戦いを意識しており、イングランドは深い位置での戦いを意識していたということである。

イングランドのこの戦術を可能にしたのはWTBの空中戦の強さ、SOの相手の裏をみる能力の高さであるが、アイルランドのキック処理はあまりにも杜撰なものであった。映像では確認することができなかったが、アイルランドのBK3の連携が上手く取れていなかったことは明白である。


また、イングランドはDF面でレベルの高いフォルドアップDFを実践していた。これによってアイルランドは9シェイプ以外の選択肢で優位にATを進めることができなかった。

アイルランドも同様のDFシステムを用いていたが、イングランドはダブルラインをひき、速いテンポでATすることで、アイルランドDFを無力化していた。このことから、イングランドは自らフォルドアップDFを採用、実践するなかで、その強みと弱みを理解してATを組み立てていたのだろうと推測できる。

アイルランドは元来早いテンポで攻め込むことがあまりないため、イングランドのフォルドアップDFを崩すことが出来なかった。



このようにアイルランドはイングランドと似たスタイルの戦術を有していながらも、フォルドアップDFを崩す方法を有していなかったという点、エリアに対する意識の差という部分でイングランドに対抗することが出来なかった。またこの試合においては、その統制のとれたスタイルから、「古代ローマ軍」と形容されるアイルランドの良さが全く発揮されていなかった。


W杯に向けて進化してくることは予想されるが、現時点でのアイルランドの攻略法は、ブレイクダウンの早いリサイクルと深い位置へのタッチキック多用、フォルドアップDF又はシャローDFである。

そのため、日本代表は来たるアイルランド戦に向けて、ブレイクダウンリサイクルの速さとDFセットにフォーカスして練習していかなければならないと考える。



以上駄文失礼いたしました。

スタッツはこちらです↓

http://www.espn.com/rugby/matchstats?gameId=291702&league=180659


また、WOWOWではゲーム中にドミナントタックル数など詳細なスタッツが出ていたので、フルタイム時のスタッツが見たいのですが、どこかでみることが出来ますか?

 
 
 

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