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  • 執筆者の写真早稲田ラグビー戦術研究会

1-3-3-1ポッドの限界

久々の更新すぎて、HP上でどんな文体で書いていたか完全に忘れましたが、本文はとりあえず常体で書いていきます。

今回はこのサイトに到達する検索上位ワードに「1-3-3-1ポッド デメリット」と上がっていたので、1-3-3-1について考えたいと思います。

以下、駄文失礼いたします。


1-3-3-1ポッドはよく見聞きするが、これは果たして合理的なシステムであるか。

今回はシステムの構造を解説しながらこれを検証していく。

最近はこれを可変的にアレンジして、1-3-2-2とするパターンも多く見られるが、今回のテーマは1-3-3-1であるので、そこには触れない。

なお、左右の動きにフォーカスするためキックという部分にも触れない。


そもそもポッドとはなんだという方に説明すると、グラウンドをタッチラインに平行な線で縦に分割して、それぞれの場所(レーン)に指定された人数のFWを配置していくシステムのことである。

サッカーのフォーメーションを横向きにしたものと考えるとわかりやすい(?)


1-3-3-1概要

つまり、1-3-3-1というのは8人のFWを大まかに4つのレーンに1人、3人、3人、1人といった具合に配置しているシステムである。

ここで1-3-3-1を考えるために留意してほしいことがある。

それは中央の2レーンに3人組が二つ存在するということである。

これらの3人組はどういったように使われるかというと主に9シェイプか10シェイプである。

外に配置されているFWは主に相手WTBとのミスマッチを生み出す役割がある。


これらを踏まえて、1-3-3-1からのATパターンについて考える。

まず、このシステムの起点はエッジラック(タッチライン際のラック)である。

そうすることによって簡単に再配置を行うなどの理由があるが、後述する解説をもとに考えるとそういった結論に至る。


エッジラックからのATオプション:

・9シェイプ

・10シェイプ

・大外展開


ATをシンプルに理解するためにオプションごとに考える。


9シェイプ

まず、9シェイプをエッジラックから行う理由は、エッジラックからのプレッシャー回避と、次フェイズのためのテンポ作りである。

エッジラックは逆サイドにDFを置く必要がなく、WTBまでボールを運ぶためのパス数が多いため、DFは勢いよく狙いを定めてタックルに行くことができる。

そのため、ATは一度9シェイプを挟むことで、次フェイズのプレッシャー軽減とテンポ作りを図る。

ここで9シェイプの次のオプションについて考えたい。

9シェイプから実行可能なオプション:

・順目の10シェイプ

・順目の大外展開

・逆目AT


どのオプションを実行するにも、効果的なものにするには9シェイプでゲインすることが必要となる。

順目のATを効果的にするためには、ゲインしてDFの順目のセットよりも早く球出しをする必要がある。

逆目に関しては、必ずしも球出しは早くなくてもいいが、順目のATができないチームの逆目ATは簡単に対応することができる。


つまり、9シェイプでのゲインは1-3-3-1システムでは必須である。



エッジラックから10シェイプ

プレッシャーを受ける可能性は十分にあるが、BDを作るポイントをグラウンド中央にできることがメリットとして上げられる。

こうすることによって両サイドのATのオプションをDFは警戒しなければならなくなる。

しかし、これはあくまでシステムを机上で考えた時のことであって、実際のゲームで逆目のオプションを用意できているチームがどれほどあるのかという点は疑問である。

ともかく、中央にBDを作ることで、DFの順目セットよりも早く順目の大外で相手と勝負することができる。

つまりこの最短の2フェイズが一番ゲインするには手っ取り早い。



エッジラックから大外展開

これに関しては、DFが前に出てくるのかそうでないのかという部分で成否が分かれてくるところであるので、一概に論じることができない。

そもそも、これを効果的にするためには前フェイズでのビッグゲインが必要となってくる。

前フェイズでゲインできていなければ、DFはシャローDFをチョイスする可能性が高いため、外に回す間も無くタックルされてしまう。

つまり、このオプションを停滞したエッジラックから使うことは困難である。

これを打開するためにFWの配置を1-3-2-2と変更することがあるというのがその証明である。



結論

ここまで長々と書いたが、結論としては:

・9シェイプでゲインする能力が必要

・10シェイプからのATは効果的になりやすい

・停滞フェイズから大外にボールを運ぶことは難しい

ということが挙げられる。


裏を返せば、9シェイプでゲインできないチーム(フィジカルが弱いチーム)は1-3-3-1を使うべきではないということになる。

また、10シェイプからのATが効果的であるのであれば、9シェイプを使う必要性も特にないため、3人ポッドのうち一つは解体しても良いことになる。

つまり、効果的なATをするにあたって1-3-3-1システムに従う必要性はない。


もちろんフィジカル的に優位なチームであれば破壊力が高いATが出来るため、システム自体を否定するつもりはないが、相手の方がフィジカルが強い時にどうやってゲームを勝ちきるのかというプランBが必要であることは明白である。


そうした場合にも頑なに1-3-3-1を使う様子は散見される。

しかし、システムはあくまでもゲームを優位に進めるためのツールに過ぎないので、勝てないシステムに縛られ続けるべきではないとだけ書き残して締めさせていただきたい。










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